Julian Bream / ジュリアン・ブリーム(1933年 – 2020年)Classical Guitarist【 クラシックギター 演奏、作曲家】

ジュリアン・ブリーム (Julian Bream)は、20世紀を代表するクラシックギタリストの一人であり、ルネサンス以前の音楽の演奏においてもパイオニア的な存在でした。彼はロンドン南部で生まれ、父親とボリス・ベレットからギターを学び、ロンドンの王立音楽院に進学しました。しかし、当時はギター専攻がなかったため、チェロとピアノを学びながら、独学でリュートの奏法を習得しました。

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Julian Bream / ジュリアン・ブリーム(1933年 – 2020年)Classical Guitarist【 クラシックギター 演奏、作曲家】

 

 

 

生涯

 

 

ジュリアン・ブリーム (Julian Bream)は、20世紀を代表するクラシックギタリストの一人であり、ルネサンス以前の音楽の演奏においてもパイオニア的な存在でした。

彼はロンドン南部で生まれ、父親とボリス・ベレットからギターを学び、ロンドンの王立音楽院に進学しました。

しかし、当時はギター専攻がなかったため、チェロとピアノを学びながら、独学でリュートの奏法を習得します。

1947年にはスペインの巨匠ギタリスト、アンドレス・セゴビアに師事し、10代でデビュー。

兵役に就いた後、演奏活動を再開し、30代に入る頃には時代をリードするギタリストとして名を馳せました。

1959年には「ジュリアン・ブリーム・コンソート」を結成しました。

交通事故の後遺症もあり、1990年代後半から徐々に技術が衰え、2000年には引退しました。

彼の音楽界における長年の貢献に対して、イギリスではOBE(大英帝国勲章勲士賞)に叙されている他、ヴィラ=ロボス・ゴールドメダルなど、受章多数です。

 

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=2L0sdZ3TbJ8&ab_channel=Zigeunerbaron

 

 

 

ジュリアン・ブリーム:ギターと人生への情熱

 

 

 

 

 

 

ジュリアン・ブリームは、9歳の時に父親のレコードコレクションからジャンゴ・ラインハルトの演奏を聴き、

「燃えるような苦悩」と彼が表現する音楽の魅力に引き込まれました。

その瞬間から、彼の音楽への情熱が始まりました。

ギタリスティックな表現を払拭し、普遍的な音楽性をギター演奏に持ち込み、スペインのギター音楽を斬新な切り口で解釈・演奏したことで知られています。

ソロの演奏だけでなく、ジョン・ウィリアムズとの共演は20世紀を代表するギター・デュオとして評価され、テノール歌手のピーター・ピアースやチェンバリストのジョージ・マルコムともジャンルを超えた共演で知られています。

また、ジュリアン・ブリームは「楽器がいいからいい音が出る」という生徒に反応して、全員の生徒の楽器を次々と演奏してみせた逸話もあります。

どの楽器からも素晴らしい音が出たと言われています。

 

 

 

 

音楽と再生

 

 

1984年、ブリームはオープントップのMGで事故に遭い、右肘を骨折しました。

多くの人が彼の演奏キャリアが終わったと心配しましたが、彼はギターの弾き方を学び直し、3ヶ月後にはアメリカツアーを成功させました。

彼は「キャリアの終わりの瀬戸際から復活するための規律があった」と語ります。

 

 

 

バッハとの対話

 

ブリームはバッハの音楽を深く尊敬しており、「シャコンヌ」を完璧に演奏するには、38年という歳月が必要だと述べています。

彼にとって、バッハの作品は年齢を重ねるごとに新たな発見があり、演奏は一種の哲学となります。

 

 

音楽へのアドバイス

 

ブリームは音楽家としての勉強について、「お金にあまりこだわらないこと」とアドバイスしています。

彼は、金銭に囚われると、音楽を考える時間が失われると警告しています。

 

 

スペイン音楽との出会い

 

スペイン音楽について、ブリームはスペインの風土を理解しなければ真に演奏することはできないと語っています。

 

 

 

 

ジュリアン・ブリームが使用したギター

 

 

ロベール・ブーシェ製作のギター

 

 

 

 

 

 

 

    • 4本のブーシェギターを所持。名盤「バロックギター」で使用されました。
    • ブリームは生涯に数多くのギターを使用しましたが、ロマニリョス、ハウザー、ルビオと並び、ブーシェとの組み合わせが特に印象的でした。
    • 1951年にブリームはブーシェの工房を訪れ、同時期にイダ・プレスティの演奏に感銘を受けました。その後、ハウザーの後継ギターとしてブーシェを選びました。
    • ブリームは1957年、1960年、1962年、そして1964年に計4本(一説には5本)のブーシェギターを購入しました。ニューヨークでの演奏旅行中、持参していたブーシェギターが盗難にあったこともありますが、これは1962年製のものであるとブリーム自身がインタビューで語っています。本作の1964年製No.103にはボディ内部の裏板にブーシェ本人のサインがあります。
    • ブーシェギターは高音の「refinement」に深く魅了されたとブリームは語っており、まるでオーケストラの弦の響きのように密度があり、良く歌う高音部はまさにブーシェだけの至芸でした。低音部も実に重厚で深く、ニュアンスに満ちており、深度があり同時に明確な発音も素晴らしかったです。熟練したタッチが要求されるギターであり、リアルヴィンテージの最高峰と言える究極の一本です。

 

 

 

Hermann Hauser II 1976

 

 

 

 

 

 

 

    • ドイツのミュンヘン郊外ライスバッハで、現在も世界中のギタリストのために最高級のコンサートクラシックギターを製作し続けるヘルマン・ハウザー家があります。
    • ヘルマン・ハウザーⅡ世(1911-1988)は父ヘルマン・ハウザーI世の元で1930年から働き始め、1952年10月にその仕事を引き継ぎました。
    • 1957年に製作されたギターは、イギリスの名ギタリストであるジュリアン・ブリームが永年愛用し、録音にも使用されました。

 

 

 

 

インタビューから

 

 

「少し腹立たしいのは、自分が70歳のときよりもいいミュージシャンであることは分かっているが、それを証明できないことだ」

音楽はことばで表現することが不可能なものを表現可能にしてくれます。

 

バッハの音楽は偉大です

 

38年という歳月が必要だったわけです。

それだけバッハの音楽は偉大なんです。

『シャコンヌ』を完璧に演奏するには、私の人生のすべてと、もう半分くらいの人生を要します

 

バッハとは年齢を重ねるごとに見方が変わってくる作曲家:

 

バッハというのは、年齢を重ねるごとに見方が変わってくる作曲家です。

経験が深くなればなるほど、各曲の特徴と真の魅力が理解でき、その各々の違いに焦点を合わせて集中して演奏できるようになります。

演奏というものが一種の哲学となって私の心のなかに存在し、演奏行為が自分の存在を示すものとなっていく。

 

 

 

 

ジュリアン・ブリーム代表的な作品

 

 

 

 

 

 

 

  • ショーロス No.1 (H.ヴィラ=ロボス): この曲は、ブリームの演奏で多くの人々を魅了しました。ポルタメントや間のとり方など、ブリームの独自のアプローチが際立っています。
  • ガボット・ショーロ (H.ヴィラ=ロボス): 映画「マチネの終わりに」でも使われたこの曲は、ブリームの感動的な演奏で知られています。高貴さと清潔さを保ちながら、世俗的な要素も表現しています。
  • セビリア(I.アルベニス): メロディの弾き方はブリームの独自のものですが、その感動的な演奏は多くの人々に影響を与えました。クラシックギターの魅力を伝える素晴らしい演奏です。
  • 序奏とロンド(D.アグアド): ブリームは編曲の巧みさでも知られており、この曲も彼の独自のアレンジで演奏されています。ブリームの表情から楽曲の意図を読み取れる名演奏です。
  • フロッグ・ガリアルド(J.ダウランド): ブリームのリュート演奏も素晴らしく、この曲は彼の多彩な音色と繊細な表現力を示しています。

 

 

 

ジュリアン・ブリームの偉大な功績 – テレーズ・ワシリー・サバ / Thérèse Wassily Sabaの言葉

 

「ジュリアン・ブリームは、音楽への絶え間ない献身と深い愛情を持ち、ギターとリュートの演奏を通じて芸術を表現する道を選びました。

彼の功績は計り知れず、多くの作品を委嘱し、編集者としても活躍しました。

クラシックギターのレパートリーを大きく拡張し、演奏家としても私たちに貴重な遺産を残してくれました。

「アンドレス・セゴビアは、ギター作品の委嘱を通じてその可能性を広げた国際的な演奏家です。

ブリームもまた、セゴビアに匹敵する功績をギター界にもたらしました。

ブリームは、セゴビアとは異なる演奏スタイルで知られています。

セゴビアの演奏は圧倒的な存在感と繊細な音楽性を兼ね備えています。

一方でブリームの演奏は、時に神経質な表情や汗を流しながらの苦労が感じられます。

彼の爪は完璧ではありませんでしたが、高い表現力を追求するためにリスクを恐れずに演奏しました。

その姿勢は聴衆に愛され、尊敬されました。

サバは、ブリームの人間性と演奏家としての弱点を隠さず、それを強みに変える愛すべき人柄を称賛しています。

彼の演奏は常に聴衆を魅了し、不断の向上心と強固な意志によって支えられていました。

ブリームが大切にしたのは、「挑戦すること」でした。

 

 

 

ジョン・ミルズの回想

 

「ブリームは聴衆を楽しませるだけでなく、挑戦することの重要性を説き、芸術性の高い作品を演奏するよう勧めました。

演奏前の曲解説は聴衆の理解を深めるために重要です。

ミルズの言葉からは、ブリームの「ギターで芸術を表現する」という揺るぎない信念が伝わってきます。

 

 

 

晩年と死去

 

イングランド南西部のウィルトシャーの自宅で亡くなりました。87歳でした。

ジュリアン・ブリームの音楽性は、今日も録音を通じて不滅の輝きを放っており、彼の演奏は多くの人々に感動を与えています。

 

 

 

 

 

ジュリアン・ブリーム

 

 

 

 

 

 

 

ジャンゴ・ラインハルト

 

 

 

 

 

 

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In English

 

 

 

Julian Bream (1933 – 2020) Classical Guitarist

 

 

Lifetime

 

Julian Bream (Julian Bream) was one of the leading classical guitarists of the 20th century and a pioneer in the performance of pre-Renaissance music.

He was born in south London, learned guitar from his father and Boris Berrett, and went on to the Royal Academy of Music in London.

However, there were no guitar majors at the time, so he taught himself how to play the lute while studying cello and piano.

In 1947, he made his debut as a teenager under the tutelage of Spanish master guitarist Andrés Segovia.

After serving in the military, he resumed performing, and by the time he entered his 30s, he had made a name for himself as one of the leading guitarists of his era.

In 1959, he formed the “Julian Bream Consort.

Due in part to the aftereffects of a car accident, his skills gradually declined beginning in the late 1990s, and he retired in 2000.

For his many years of contribution to the world of music, he has been decorated with an OBE (Officer of the Order of the British Empire) in the United Kingdom, the Villa-Lobos Gold Medal, and many other awards.

 

 

 

Julian Bream: Passion for Guitar and Life

 

Julian Bream first heard Django Reinhardt’s playing from his father’s record collection when he was nine years old,

He was drawn to the music, which he describes as “burning anguish.

From that moment on, his passion for music began.

He is known for dispelling guitaristic expressions, bringing universal musicality to his guitar playing, and interpreting and performing Spanish guitar music from a novel angle.

In addition to his solo performances, he and John Williams are regarded as one of the leading guitar duos of the 20th century, and he is also known for his genre-bending collaborations with tenor Peter Pierce and chamber musician George Malcolm.

There is also an anecdote about Julian Bream, who responded to a student who said, “I have a good instrument and it sounds great,” by playing all the students’ instruments one after the other.

It is said that every instrument produced a great sound.

 

 

 

 

 

Music and Playback

 

In 1984, Bream had an accident in his open-top MG and broke his right elbow.

Many feared his playing career was over, but he relearned how to play the guitar, and three months later he toured the United States successfully.

He says he “had the discipline to come back from the brink of the end of his career.”

 

 

A Conversation with Bach

 

Bream has a deep respect for Bach’s music and states that it took him 38 years to perform the “Chaconne” to perfection.

For him, Bach’s works are a new discovery with age, and playing them is a kind of philosophy.

 

 

 

Advice for Music

 

Bream advises musicians to “not get too hung up on money” when it comes to their studies.

He warns that if you get caught up in money, you will lose time to think about music.

 

 

Encounters with Spanish Music

 

Regarding Spanish music, Bream says that one must understand the Spanish climate in order to truly play it.

 

 

 

Guitars used by Julien Bream

 

Guitars made by Robert Boucher

 

    * Possesses four Boucher guitars. Used in the famous “Baroque Guitar” album.

    * Bream used a number of guitars in his lifetime, but along with Romanillos, Hauser, and Rubio, the Bouchet combination was particularly impressive.

    * In 1951, Bream visited Boucher’s workshop and was impressed by Ida Presti’s playing at the same time. He then chose Boucher as his successor guitar to Hauser.

    * Bream purchased a total of four (or in one theory, five) Bouchet guitars in 1957, 1960, 1962, and 1964. During a performance tour in New York City, one of the bouchet guitars he brought with him was stolen, which Bream himself said in an interview was from 1962. This 1964 No. 103 has Bouchet’s signature on the backboard inside the body.

    * Bream said that he was deeply fascinated by the “refinement” of the high notes of Bouchet guitars. The high notes, which are as dense and well-sung as the strings of an orchestra, were truly Bouchet’s masterpiece. The bass part was also very profound, deep, and full of nuance, and the enunciation was deep and clear at the same time. This is a guitar that requires an expert touch, and is the ultimate example of the best of real vintage.

 

 

 

Hermann Hauser II 1976

 

    * In Reisbach, a suburb of Munich, Germany, the Hermann Hauser family continues to produce the finest concert classical guitars for guitarists around the world today.

    * Hermann Hauser II (1911-1988) began working for his father, Hermann Hauser I, in 1930 and took over in October 1952.

    * The guitar, built in 1957, was a longtime favorite of the famous British guitarist Julian Bream, who used it on his recordings.

 

 

 

From an interview with Julian Bream

 

‘What’s a little annoying is that I know I’m a better musician than I was at 70, but I can’t prove it.’

Music can make expressible what is impossible to express in words.

Bach’s music is great.

So it took 38 years.

That’s how great Bach’s music is.

It would take all my life and about half my life to perform “Chaconne” perfectly.

Bach is a composer whose music changes with age.

Bach is a composer whose work changes with age.

The more experienced you become, the more you understand the character and true appeal of each piece, and the more you can focus and concentrate on its individual differences.

Playing becomes a kind of philosophy that exists in my mind, and the act of playing becomes an expression of my being.

 

 

Julien Bream Representative Works:.

 

* Choros No. 1 (H. Villa-Lobos): This piece has captivated many people with Bream’s performance. Bream’s unique approach to portamento and pauses stands out.

* Gavotte Choro (H. Villa-Lobos): This piece was used in the movie “At the End of the Matinee” and is known for its moving performance by Bream. It expresses secular elements while maintaining a sense of nobility and cleanliness.

* Seville (I. Albeniz): Although the way Bream plays the melody is his own, his moving performance has influenced many. This is a wonderful performance that conveys the charm of the classical guitar.

* Introduction and Rondo (D. Aguado): Bream is also known for his skill in arranging, and this piece is also played with his unique arrangement. This is a masterful performance in which you can read the intention of the music from Bream’s expression.

* Frog Gagliardo (J. Dowland): Bream’s lute playing is also excellent, and this piece demonstrates his versatility of tone and subtlety of expression.

 

 

 

Great Achievements of Julien Bream – Words by Thérèse Wassily Saba / Thérèse Wassily Saba

 

Julien Bream chose to express his art through his guitar and lute playing, with a relentless dedication and deep love of music.

His achievements are immeasurable, and he commissioned and edited many works.

He greatly expanded the classical guitar repertoire and left us a valuable legacy as performers.

Andrés Segovia is an international performer who has expanded the possibilities through the commissioning of guitar works.”

Bream has also brought accomplishments to the guitar world comparable to Segovia’s.

Bream is known for a different style of playing.

Segovia’s playing combines an overwhelming presence with a delicate musicality.

Bream’s playing, on the other hand, sometimes shows a nervous expression and sweaty toil.

His nails were not perfect, but he was not afraid to take risks in pursuit of high expressiveness.

His attitude was loved and respected by his audience.

Saba praised Briem’s humanity and his endearing personality that did not hide his weaknesses as a performer but turned them into strengths.

His playing always captivated his audiences and was supported by a constant desire to improve and a strong will.

 

 

 

John Mills recalls.

 

Bream not only entertained his audiences, but also challenged them, encouraging them to play works of high artistic quality.

Commentary on a piece prior to performance is important for the audience’s understanding.

Mills’ words convey Bream’s unwavering belief in “expressing art with the guitar.

 

 

 

Late Years and Death

 

He died at his home in Wiltshire, southwest England, at the age of 87.

 

Julian Bream’s musicality continues to shine immortal through his recordings today, and his playing continues to inspire many.

 

 

 

ジュリアン・ブリーム (Julian Bream)は、20世紀を代表するクラシックギタリストの一人であり、ルネサンス以前の音楽の演奏においてもパイオニア的な存在でした。彼はロンドン南部で生まれ、父親とボリス・ベレットからギターを学び、ロンドンの王立音楽院に進学しました。しかし、当時はギター専攻がなかったため、チェロとピアノを学びながら、独学でリュートの奏法を習得しました。
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