ギターの歴史 – リュート / Lute
歴史と変遷
リュートの起源と進化
リュート族の楽器は、古代メソポタミアの壁画や彫刻から、紀元前2300年以前にギターに似た楽器が誕生していたことがわかる。たとえば、アッカド時代の円筒印章には、ロングネックリュートを斜めに構える奏者の姿が頻繁に描かれている。
紀元前2000年頃の古代バビロニア時代になると、テラコッタ像からリュートの構え方が水平に変化したことがうかがえる。テラコッタでは詳細な情報は得られないが、ネックの短いリュートを抱えた像も登場し、この時期にショートネックリュート「バルバット」が生まれ始めた可能性がある。
紀元前16世紀から11世紀のエジプト新王朝時代には、メソポタミアを中心とする西アジアからリュートを含む多くの楽器が輸入された。歴史家のヒックマンと比較音楽学者のクルト・ザックスがこの事実を明らかにしている。
メソポタミアとエジプトのリュートに類似性が見られるのはこのためで、「バルバット」はエジプトのリュート族「アル・ウド」の祖先と考えられている。
ただし、バルバットには不明な点が多い。4世紀以降の銀器にその姿が描かれているが、それ以前はテラコッタなどの資料しかなく、詳細は謎に包まれている。
それでも、バルバットは形を変えながらエジプトとギリシャ・ローマを経由する2つのルートでスペインに伝わり、中国や日本の琵琶のルーツともされている。
紀元前1400年頃のヒッタイト時代には、胴にくびれのある「くし状ネックリュート」が登場し、現代のギターに近い形状が現れ始めた。